リアルユースで本当に速いSSDはどれだ!

このブログでは、FuturemarkのPCMark8 Expanded Storage Testを利用して、SSDの性能安定性を評価しています。多くの比較サイトでは、CrystalDiskMarkなどのベンチマークによる、いわば瞬間最大速度だけで評価されていますが、より実ユースを模したテストを行うと、機種によって、あまり知られていない性能差が見えてきます。それは、性能劣化という形で現れ、実際に使っていくと、体感できるほどの違いとして表れるケースも少なくありません。
では、その性能劣化はどのくらいあるのか?同じメーカーのハイエンド品とミドルエンド品の差はあるのか?そんなことを意識しつつ、皆さんのSSD選択の、一定の基準になれるように情報を公開していきたいと思います。

テストを行った製品とテスト環境について
商品の選定の基準としては、以下の条件を設定しました。

  1. 主要NANDメーカー製であること
  2. ハイエンド、ミドルエンドカテゴリそれぞれで製品を販売していること
  3. 市場で売れていること

容量については、128GBではハイエンド製品がなかったり、Crucialなどは128GBだけ、性能が低かったりしますので、240GB~256GBクラスを選択しています。
この条件を元に、まずは以下の3メーカー、6機種のSSDを購入し、テストを行いました。

Crucial
MX100 256GB CT256MX100SSD1
M550 256GB CT256M550SSD1

Samsung
850 Evo 250GB MZ-75E250B/IT
850 Pro 256GB MZ-7KE256B/IT

SanDisk
Ultra2 240GB SDSSDHII-240G-J25C
Extreme Pro 240GB SDSSDXPS-240G-J25

テストで使ったPC環境です
Z97+Core i7 4790K
オンボード SATA 6GB/s
Windows 8.1 64bit

PCMark 8 Expanded Storage Testの概要については、こちらにまとめています。

2週間に及ぶテスト
本テストは、DiskpartによるCleanを行ったドライブをPCの2ndドライブとして接続し、コマンドラインガイドに従って作成したバッチファイルを実行するだけです。後は1台あたり、約24時間をかけて、上記の全フェーズのテストを行います。ベンチマーク実行中は、コマンド画面上にそれぞれの結果が出力されながら、ログファイル(テキスト)に保存されるといった非常に味気ないものです。ずっとPCの前にいられるわけでもありませんでしたので、すべての測定を終えるのに約2週間もかかりました

結果を見る前に
テストの結果を見る前に、現在日本でハードディスクやSSDの性能テストで最も多く使われていると思われる、CrystalDiskMarkの結果を見ておきましょう。今回のテストの1つの目的は、CrystalDiskMarkのようなベンチマークの結果が、実ユースにも反映されるか、というものでもあります。PCの電源オプションの最小プロセッサの状態はOSデフォルトの5%のままで行っています。(実はこの数字を100%に変えると大きくスコアが伸びたりします)

CrystalDiskMark

結果は、SamsungとSanDiskが、ハイ・ミドルそれぞれの製品で近い性能で、Crucialの2製品については、やや下回るといった感じです。MX100の書き込み性能がやや気になりますが、この程度の差であれば、いずれも大手メーカーですので、単純に安い方を買っておけばよさそうです。(2015年2月上旬時点でUltra2かMX100)

PCMark 8 Expanded Storage Testの結果
いよいよ、本題のPCMark 8のExpanded Storage TestによるConsistency(安定性)テストの結果です。ログファイルは約600KBにも及ぶテキストファイルで、そのままですと比較がしづらいので、Excelを使ってガシガシ集計を行います。まずはPrimary Scoreの結果から

PrimaryScore

PrimaryScore

PCMark 8のドキュメントを見るとPrimary Resultとは

Primary Result
Worst Performance Encountered during the Benchmark run
(ベンチマーク実行中に記録される最も低い性能値)

とあります。基本性能が高く、性能劣化が少ないことが高いスコアの条件と言えそうです。

この結果を見ると、さすがにハイエンドをうたうだけあって、SanDiskのExtreme ProとSamsung 850 Proが頭一つ抜き出た結果となりました。これだけで、ハイエンドに位置づけられる製品はより高性能であることを示す、十分な情報が得られたと思いますが、せっかく膨大なログデータがあるのですから、これらも集計してみましょう。アプリケーションごとに集計し、DegradationからRecoveryフェーズの各Passを線グラフにプロットしてみました。とりあえず、なんだか重そうなPhotoshop Heavy Traceというテストです。ベンチマーク実行過程の時間軸は左から右です。またBandwidthですので、上に行くほど性能が高いことを意味します。

Consistency Test Photoshop Heavy Bandwidth

Consistency Test Photoshop Heavy Bandwidth

なんか、見たことあるグラフになりました。そういえば、海外のサイトや、メーカーの資料で、テストの最後の方(グラフでいうと右の方)にある、Recovery Phaseは”Fresh Out of the Box”に近い状態、つまり、購入直後に近い状態であると書かれていたのを思い出しました。どういうことか、改めてPCMark 8の資料を読み直してみると・・・

Recovery Phase
削除済みの古いデータを消去するために(ガベージコレクション)、5分間隔でアイドル時間を置き、アプリケーションテストを実行

とあります。ガベージコレクションをさせるために、5分間隔でアイドルさせる・・・なるほど、ドライブがよりきれいに、より購入直後に近い状態に近づいていると解釈できます。それを踏まえて、もう一度グラフを見てみます。

Consistency Test Photoshop Heavy Bandwidth

Consistency Test Photoshop Heavy Bandwidth

Exteme Proは平均的に高いところで一直線、その他多くのドライブが購入直後に近いほど性能が高いことが分かります。ま、SSDの特性ですから、当然といえば当然です。CrucialのMX100は買った直後に近い状態でしかパフォーマンスが高くないという結果が気になります。更に同M550はどうしたことでしょう、ドライブのガベージコレクションを行っても、一向に性能が上がっていません。

もしかしたら不良品??

気になって、ググって見たところ、個人的にもお世話になっているサイト、TweakTownANANDTECHなどのサイトの検証結果からも、性能劣化が激しいということが確認できます。うーん・・・Crucial大丈夫でしょうか?

気を取り直して、他のアプリケーションを見てみましょう。例えば、Wordのアクセスタイムの総合計(読み、書きとビジータイムの合計)。時間ですので、下に行くほど速いことを意味します。

Consistency Test Word Total Access Time

Consistency Test Word Total Access Time

やはり、Crucial勢は同様の結果です。それにしても、Extreme Proの安定性が光ります。2つのグラフにおいて、ほぼ横一直線となる恐るべき安定性能です。

よりそれぞれの製品の性能をビジュアル化するために、レーダーチャートに展開してみました。もう一度Photoshop Heavy TraceのBandwidthに戻ります。

Photoshop Heavy Trace Bandwidth

Photoshop Heavy Trace Bandwidth

それぞれのチャートの左上が購入直後に近い状態となります。(Rec5に近づくほどよりガベージコレクションされている状態)このチャートは転送レートを表していますので、外に行くほど転送レートは高く、より真円に近いほど、性能が安定していることを意味します。当然、線グラフでフラットだったExtreme Proは真円に近くなります。

Wordの総アクセスタイムもレーダーチャートにしてみました。(時間の軸を逆にしていますので、これも速いほどチャートが大きくなります)

Word Total Access Time

Word Total Access Time

本テストでWordのようなアプリケーションは処理時間がそれほど長くないものの、850 Proでは4秒未満、Extreme Proでは5秒程度かかる処理が、遅い機種で30秒程度かかっています。

では、より高負荷なテストではどのくらいの時間の差がでるのでしょう。調べてみたところ、やはりPhotoshop Heavy Traceが一番時間がかかるテストのようです。以下、線グラフとレーダーチャートです。

Photoshop Heavy Trace Total Access Time

Photoshop Heavy Trace Total Access Time

Photoshop Heavy Trace Total Access Time

Photoshop Heavy Trace Total Access Time

高負荷環境において、Extreme Proで200秒程度でかかる処理が、より遅い機種では1000秒以上かかっています。これはかなり大きな差と言えます。一見SATAの限界性能まで来ているように見えるSSDは、負荷をかけると、製品によってまだまだ大きな性能差が見えてきます。

ここでは、全部の結果を載せきれませんが、全てのグラフをPDFにまとめました。
SSD_ExpandedStorageTest_20150210.pdf (2015/02/10時点準備中)
ご興味があるかたは、ぜひダウンロードしてみてください。

簡単な総評を

性能安定性の王者 Extreme Pro
高い性能安定性をうたうだけあって、SanDiskのExtreme Proは圧倒的な安定性を発揮しました。アプリケーションによって、速度面で他製品に負けることはあっても、今回テストされたアプリケーション全てにおいて、性能の劣化が少なく、多くのレーダーチャートが真円に近い形となりました。nCache恐るべし!(よく分かっていません)

本記事を書くにあたって、いくつか海外のサイトも参考にしましたが、そのなかでも私がよく観るサイト、TweakTownでも、“King of Consistencyであった、Extreme2をもしのぐ性能”と評価されており、“現在入手可能なSATA SSDで最も高速な製品”であるとされています。

Black Magicなど4KカメラのRAW記録用に推奨されているのもうなずけます。低価格SSDに比べて若干割高ではありますが、10年という長い保証期間も考慮すると、最もおすすめできる製品だと思います。

日本では昨年ぐらいから店頭でよく見るようになりましたが、サンディスクやりますね。

Samsungは裏切らない
840シリーズのころから、基本性能が高く、最高速度についても常にリーダー的な存在でした。国内のユーザーの中にはファンも多いようで、850シリーズについても期待を裏切っていません。840のころに比べて、性能安定性は上がっており、ExtremeProがなければ、同じく10年保証であることも加味して、850 Proが本レビューで最もおすすめする製品になったと思います。ミドルエンド製品の850 Evoも高い性能を発揮していますが、2/10時点、850 Proとあわせて、ともにやや割高であることが難点です。

Ultra2はベストコストパフォーマンス
Extreme Proも真っ青と言われるほどの、速度を誇りますが、安定性については、流石にExtreme Proには及んでいません。しかし、価格はMX100とほぼ同等であり(2/10時点)、パフォーマンスは高いので、コストパフォーマンスは一番高い製品といえます。

性能が出ないCrucial
ハイエンド製品であるはずのM550のパフォーマンスが芳しくないことに加えて、残念ながら、MX100についても、多くのアプリケーションにおいて、Recovery State(購入直後に近い状態)でしか性能が出ていません。M500のころから性能劣化について指摘されていましたので、今後の改善に期待したいものです。なお、この投稿を行っている2/10現在、M550が大幅に値下げしており、MX200という新しい、上位モデルが発売されています。また機会があれば、MX200についても、同一のテストを行ってみたいと思います。

総括
いかがでしたでしょうか?こうやって見ると、既に性能の限界にあるように見えるSATA SSDも、製品によって大きな性能差があり、まだ、多くの性能向上の余地が残されていることが分かります。残念なのは、日本の比較サイトや、レビューサイトを見ると瞬間最大速度の比較ばかりで、SSDの実ユースにおける性能があまり評価されていないということです。本テストからも、「瞬間最大速度が速いSSDが実ユースで速いとは限らない」と結論づけられます。単純に瞬間最大速度を見て、製品を選ぶことがいかに危険であるか分かります。

もちろん、私のように仕事でSSDの比較を行っていない限り、製品の性能安定性を測定するためだけに、ベンチマークソフトを購入することは、もったいないと思いますので、SSDの比較でお勧めする海外のサイトをご紹介します。

TweakTown
http://www.tweaktown.com/cat/storage/ssds/index.html
(ほぼすべてのSSDでPC Mark 8のConsistency Testを行っています)

本レポートを通じて、皆様がよりいいSSDを選べるよう、お役立てできれば幸いです。

おわり

広告